リバネス社員ブログ最新Update

March 02, 2010

コミュニケーションを忘れない科学技術者に 東京工業大学 新エネルギー人材育成プログラム

東京工業大学大学院、東電ピーアール株式会社 電力館企画部 副部長


東京工業大学において、11月9日より4日間の集中講義「ケーススタディ〜エネルギービジネスと社会的責任」および「エネルギービジネスインターンシップ」が実施された(詳細は、左表参)。本プログラムに参加した学生は、エネルギー関連企業や新エネルギー導入に取り組む自治体に赴き、エネルギー問題の実際についてインタビューを行い、その結果をレポートとしてまとめた。*本記事は、インターンシップに参加した塚本 隆史さん(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 修士1年)が作成したものです。




「常に心に余裕を持って、自分の専門分野以外の知識もどんどん学んでいった」と語る楠さん。火力発電所の建設・運転業務から得た幅広い科学技術の知識と、「学校の先生」という経歴を活かし、現在は渋谷にある電力館で、「一般の人に科学技術をわかりやすく伝える」という仕事に就いている。






様々な技術を次々に吸収

「中学を卒業した後、すぐに東電学園の高等部に入学しました。東電学園は、今はなくなってしまった(2007年廃校)けど、東京電力が技術者を養成するために作った学校で、3年間通った後に東京電力の社員となります。私は2年から火力コースに入り、火力発電に必要な熱力学等を学んでいました」。

東京電力の社員となった楠さんは、1971年に運転を開始した大井火力発電所の機器の据え付け・試運転など、火力発電所の建設業務を担当していた。火力発電所の現場に必要なのは、機械・電気の知識だけではない。タービンの冷却に用いる純水の生成方法や、生成された水の測定、さらにプラントの設計など、化学・測定分野など幅広い知識が必要となってくる。仕事の合間を縫っては、独学で勉強を続けるという生活が4年間ほど続いた。「当時は働きづめだった」と当時を振り返る。

発電所の建設から運転に仕事が変わっても、勉強することはやめなかった。運転業務では、最初はボイラー部門を担当していたが、次にタービン、さらには電気部門と担当を変わっていった。当時の日本では工場の排水等による公害が問題視されていたが、社内に化学を理解する人はまだ多くなく、それらの学問も吸収していった。

「どんなに忙しくても、自分の時間を作って、専門以外の知識を学ぶことは必要だと思う」。現在の若い研究者が、自らの研究に没頭するあまり、視野が狭くなってしまったり、一般社会とのコミュニケーションが薄れてしまったりすることを危惧しているようだ。


異なるフィールドへ

30歳のときに転機が訪れる。自分が卒業した東電学園から、先生としてオファーが来たのだ。通常の高等学校で必要な教員免許ではなく、職業訓練学校の先生となるための資格である「職業訓練指導員」を取得した。「電気部門から先生として呼ばれたら、普通は電気しか教えないものだけれど、機械や化学も学んでいたから、それらも含めていつの間にか14〜15科目も教えていました。生徒指導関係の仕事も扱ったから、他の学校関係者との勉強会にも参加して交流しました。教壇にも立って合宿にも参加して、部活動の指導などもしたし、東京電力の社員だけど、学校の先生に転職したようなものでした」。最終的には副校長を勤めた期間を含め、少なくとも5000名の卒業生を輩出している。卒業生は現在もエンジニアとして東京電力を支えている。

東電学園の教師となった同時期、楠さんは東京電力の労働組合の役員も務めている。東京電力の各部門・研究所の労働者のまとめ役として東京電力本店に出入りしながら、会社と組合との調整を行っていた。会社全体の動きはそこで学んだという。



「学校内の付き合いや各学校同士のネットワーク、労働組合としてのネットワークが広がっていった。そのころの知り合いは、今ではみんな偉い役職に就いているね」。当時から作り上げていたネットワークは、現在の仕事はもちろん、東京電力OBで行っているボランティア活動などにも役に立っているそうだ。


電力館で、科学技術を伝えたい

東京電力を55歳で退職した後、東京電力の関連会社である東電ピーアール株式会社に再就職、現在は電力館に勤めている。ここでは東京電力の電力事業についての広報活動を行っており、社内の事業について幅広い知識を持ち、小学生などにも理解できるようなわかりやすい教え方ができる、まさに楠さんにピッタリの仕事場である。

今年で開館25周年を迎えた電力館では、原子炉の1/3の模型や実際に火力発電所で使われていたタービンの羽を展示するフロア、子どもが電気の不思議や電気の力を学べるコーナーがあるほか、4階のIHクッキングルームではオール電化の暮らしの体験として料理教室を開催している。まさにここは「東京電力の広告塔」である。

「今電力館にいるのは営業系の社員ばかりで、科学技術については詳しくない。東京電力の各セクションから若手の技術社員が電力館などに赴いて、子どもたちに科学技術について説明すれば、東京電力のPR館としての意義がもっと深まる」と、電力館についての未来を語ってくれた。プラントの模型をただ展示するだけでなく、現場で使われている技術や開発中の研究を、技術者の視点からわかりやすく教えてほしいと考えている。「自分の専門分野に凝り固まっていないで、いろんな学問にも興味を持って、他の分野の研究者がどう考えどう取り組んでいるのかを知ると、ネットワークが広がるし、自身の研究に関しても柔軟な発想ができると思う。そうして学んだ知識を自主的に教え合う勉強会が自然と発生してくると、なお良いと思うね」と、研究者が幅広い知識を持つ必要性も語ってくれた。

ずっと同じ専門分野に留まらず、非専門家と専門家、また異業種の専門家同士でコミュニケーションすることの重要性を話してくれた楠さん。研究するだけでなく、社会に対して研究者自らも情報を発信し、お互いの知識を共有することが、これからの研究者に求められそうだ。

(文:塚本 隆史)




shuichiro_t at 10:44トラックバック(0) この記事をクリップ!
博士の就職・キャリア 

トラックバックURL

livedoor プロフィール
プロフィール
高橋修一郎
 
大学では分子生物学、植物病理学を専攻。博士(生命科学)大学院在学中に、研究者仲間と有限会社リバネス(現・株式会社リバネス)を立ち上げる。博士号を取得後、同社、専務取締役COOとして研究開発事業部と農林水産開発事業部を統括。2010年4月より、代表取締役COOに就任。
NPO法人農家のこせがれネットワーク理事。東京大学大学院農学生命科学研究科助教。法政大学生命科学部兼任講師。

リバネスでは、理工系の博士号を持つ方々を募集しています。自分の専門を活かせる就職先を探している博士は、ぜひリバネスへ!

バイオ系研究受託、研究支援のバイオガレージも運営中!
若手研究者を応援するリバネス研究費も元気に挑戦中! 
ギャラリー
  • 尾の島の滝
  • 科学と音楽のコラボレーション
  • リバネスの新作、ぞくぞく!
  • リバネスカフェ&ダイニング pre-open
  • 蓼科で自然と触れ合う
  • 蓼科で自然と触れ合う
  • リバネスカフェ&ダイニング
  • リバネスカフェ&ダイニング
  • QE-PL201
  • ミント?
  • FIRE HOUSE
  • FIRE HOUSE
  • リバネスカフェ&ダイニング
  • ルバード@四ッ谷
  • 産総研
  • 産総研
  • アゲマキ
  • 新店舗、8月22日にオープン
  • 新店舗、8月22日にオープン
  • 国際バイオexpo
  • 千葉市宇宙種授与式 播種式の様子
  • 千葉市宇宙種授与式
  • 千葉市宇宙種授与式
  • リバネス10年目の挑戦
  • リバネス10年目の挑戦
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その4 結果・次回予告編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その3 泳動編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その3 泳動編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その3 泳動編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その3 泳動編
  • DNAアガロースゲル電気泳動槽を自作してみた。その3 泳動編
twitter


リバネス役員ブログ
リバネス丸幸弘( @yukihiromaru )の会社経営奮闘記
理系博士の奮戦記 博士の就職・起業・農業・農学研究 リバネス代表@shuichiro_lvns
リバネスCBO 佐野@sanotakuro のブログ
リバネス、ジョージ@geeorgey的、知識製造業
地方役員の楽しみ方 リバネスウエストエリア統括@ikkan_y
リバネス社員ブログ
世界をこの手に リバネス@yoshidatakumiのブログ
岡崎ブログ0823 from リバネス沖縄@okazakiKONKITSU
三十路からの「新」社会人生活 リバネス@ryutarigato
つぶやき by 旅人 of a road less traveled リバネス@k_tokue
70億人に科学を届けたい リバネス関西@nisyamのブログ
気の向くままに Dog-ear をリバネス@SatokoISOGAI のブログ
リバネス @Yusukeshinozawa BLOG
変わってたっていいじゃないか!リバネス@s_kimura7120のブログ
研究キャリアライフ応援日記 リバネス@Kazuhiro_Hasega
四谷発、研究所行き リバネス@SAKASHIN
株式会社LDファクトリーのブログ fromリバネス
理系女子が綴る!理系キャリア日記 リバネス関東@mari_kanno
中国 日本 科学技術交流 リバネス@leaveanest_wang
サイエンスで笑顔をつくる リバネス関西@ijichi
ベンチャーで働くも好(よし) リバネス@tachibanalvns
Road to 35000:科学教育で全国を盛り上げる リバネス@f_daigo
続・「博士号」の使い方 リバネス関西@t_ishizawa
思い立ったが吉日〔研究と社会を繋ぐ〕リバネス@nomumami
@tsukashu41 リバネス地域開発事業部長のブログ
100人の研究者と100の実験教室を作る リバネス@k_halu
ぶ〜ぶ〜生活:養豚場を作るサイエンティストの伝説 リバネス沖縄@fukusuke0310
リバネス先端研よりこんにちは!@takahaccのブログ
わたし、3人目です。リバネス@ryoko_lvnsの挑戦
日本で働いているシンガポール人の物語 リバネス@LNAnchan
ふくろぶろぐ @domeky リバネス
.@NaokoMatsubaraによるリバネスひよこから白鳥へのblog
リバネス関東 smaedalvnstのブログ
リバネスの冊子
中高生の為の科学冊子someone byリバネス
教育応援プロジェクト | 教育CSR・理科教育の活性化 byリバネス
若手研究者応援プロジェクトincu-be(インキュビー) byリバネス
日本の産学連携のリアルな現場伝えます:バイオガレージ byリバネス
地域活性化をサイエンスで支援するBeAGRI:ビー・アグリ byリバネス
研究者向けサービス
バイオ系研究サポートのバイオガレージ byリバネス
来たれ!エッジの効いた若手研究者!リバネス若手研究者応援プロジェクト
DNAシークエンスサービスバイオスターbyリバネス
リバネスのサービス
リバネスのオススメアイテムショップ
博士の哲学
サイコレ!〜リバネスサイエンスコレクション〜
自給自足ラボ:リバネス食料自給率200%プロジェクト
リバネスの参加型サービス
リバネスのロボット教室@秋葉原ロボ研
EduCafe.jp-サイエンスカフェをサイエンティストが企画する-by リバネス
リバネスの飲食店
鉄鍋創作料理とワインのお店アゲマキ三軒茶屋
三軒茶屋にある鉄鍋創作料理とワインのお店 アゲマキブログ
梅酒ダイニング明星@飯田橋
コラボレーションプロジェクト
サブウェイ野菜ラボ
鈴廣さかなラボ:身近なさかなをもっと楽しむ!
ビルベリーをスウェーデンから:ファーベリー